障害福祉サービス等の報酬改定は通常3年に1度のサイクルで行われますが、令和8年(2026年)に臨時応急的な見直しが実施されます。令和8年4月と6月の2段階での施行となっており、事業所の運営に直接影響する内容が含まれています。
なぜ臨時改定か
障害福祉サービス等に係る費用総額は、障害者自立支援法が施行された平成18年(2006年)から4倍以上に増加しています。特に令和6年度報酬改定後は総費用額が前年比12.1%増と急伸しており、制度の持続可能性の確保が急務となっています。財務省もこの予算膨張を「社会保障費全体の伸び率と比較して約4倍」と問題視しており、令和7年4月の財政制度等審議会財政制度分科会において制度改革の必要性を提起しています(詳細は「財務省が問題提起した障害福祉サービスの『構造的課題』」をご参照ください)。
こうした状況を受け、令和9年度の次期改定を待たずに「臨時応急的な見直し」として今回の改定が実施されることになりました。主な内容は以下の3点です。
改定の主なポイント
①就労移行支援体制加算の見直し(令和8年4月施行)
就労移行支援体制加算は、利用者が一般就労に移行して半年以上働いた実績に応じて報酬が加算される仕組みです。今回の改定では、1事業所が算定できる人数に上限が設けられます。
制度の趣旨に沿わない形で加算を算定する事案が見られることへの対応とされています。適正な運用を行っている事業所への影響は限定的ですが、加算の算定実績が多い事業所は収支への影響を確認しておく必要があります。
②処遇改善加算の拡充(令和8年6月施行)
障害福祉従事者の賃上げを目的として、処遇改善加算が拡充されます。全体の改定率はプラス1.84%とされており、前回の令和6年度改定(プラス1.12%)を上回る水準です。
加算の取得にあたっては、賃金改善計画の策定と実績報告が必要です。要件を満たしていれば確実に取得を目指したい加算です。
③新規指定事業所の基本報酬引き下げ(令和8年6月施行)
今回の改定で最も注目度が高いのがこの措置です。収支差率が高く事業所数が急増しているサービス類型について、令和8年6月1日以降に新規指定を受ける事業所に限り、基本報酬を一定程度(1〜3%弱程度)引き下げるという、前例のない措置が導入されます。既存事業所については従来どおりの基本報酬が維持されます。
対象となる4つのサービス類型
就労継続支援B型
共同生活援助(介護サービス包括型・日中サービス支援型)
児童発達支援、放課後等デイサービス
なお、以下のケースは適用対象外とされています。
離島・中山間地域にある事業所
自治体が客観的に必要と判断して設置する事業所(公募等によりサービスが不足する地域に設置する場合など)
医療的ケアを要する児や重症心身障害児を対象とする事業所 など
この措置は令和8年度限りの時限的なものとされており、令和9年度の本格改定に向けた影響検証を目的としています。
新規開設を検討している事業者への影響
令和8年6月1日以降の新規指定を受ける予定がある事業者にとっては、事業計画や収支シミュレーションの見直しが必要になります。引き下げ幅は1〜3%弱程度とされていますが、開業初期の収支に及ぼす影響を再度確認する必要があるかもしれません。
当事務所にできること
臨時改定への対応として、加算の届出手続きや体制変更に関する変更届の作成・提出について、当事務所がサポートします。また、新規指定申請を検討されている方には、改定スケジュールを踏まえた申請準備のご支援も行っています。障害福祉サービス事業所での勤務経験と精神保健福祉士としての知見を活かし、実務に即した対応を心がけています。お気軽にご相談ください。
参考資料
厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」(令和8年2月18日 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム第53回)
一覧に戻る
Contact
まずは状況をお聞かせください
ご相談内容が整理できていなくても構いません。分かる範囲で現在の状況をお知らせください。初回相談は無料です。原則として2営業日以内に返信いたします。
