政府の「デジタル社会の実現」という掛け声のもと、行政手続きのオンライン化が急速に進んでいます。申請窓口のデジタル化、マイナンバーカードの活用、オンラインシステムの導入――これらは、一見すると効率化と利便性の向上をもたらします。
しかし現実には、この急速なデジタル化の過程で、新たな課題が生じています。
今回は、この課題の背景、今後の法改正、そして事業者ができる対応策についてお話しします。
行政手続きのデジタル化が進む背景
「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(2025年6月13日閣議決定)に基づき、政府は行政手続きのオンライン化を急速に進めています。
この推進の背景には、以下のような目的があります。
行政手続のデジタル完結の推進: 申請から審査、通知まで、全てのプロセスをオンラインで完結させることを目指しています。
利用者体験の向上: 申請者の利便性を高め、窓口に出向く手間を削減することを目的としています。
デジタルリテラシーの向上とアクセシビリティの確保: 国民がデジタルを正しく理解し活用する力を高めるとともに、誰もがデジタルに関する製品やサービスを利用できる環境の構築を目指しています。
デジタル化に伴い生じる課題
行政のデジタル化が進むに連れ、新たな課題も生じています。パソコンやスマートフォンの操作に不安がある事業者にとって、オンライン申請は大きなハードルになっています。また、「どのようにシステムにアクセスするのか」「どこに書類をアップロードするのか」といった基本的な操作方法が分からず、手続きや申請を躊躇する方もいらっしゃいます。「社会のデジタル化に適応できていないと思っている人」は約34%にのぼる、というデジタル庁の調査結果も報告されています。
来年の法改正で何が変わるのか
2026年1月に施行される改正行政書士法では、士業法の中で初めて「デジタル社会への対応」が職責として課されることになりました。
法改正にかかる国会審議では、「行政手続のオンライン化が進む中で、行政書士がデジタル化に的確に対応することが国民の権利利益の実現に資する」との考え方が示される一方で、「それぞれの利用者の希望や置かれた状況を踏まえて丁寧に対応すること」の重要性も強調されています。
このことから、行政書士には、オンライン申請システムの操作方法に精通するといったデジタル手続きへの対応だけでなく、利用者の状況に応じて従来のアナログ手続きにも柔軟に対応し、丁寧なサポートを行うことが求められることになります。
技術的ハードルと心理的ハードル
実は、オンライン申請システムそのものの技術的ハードルは、それほど高くありません。多くの場合、パソコンやスマートフォンでウェブサイトにアクセスし、必要事項を入力して書類をアップロードするといった基本的な操作ができれば申請可能です。
しかし問題は、心理的ハードルにあります。
「デジタルのことはよく分からない」
「操作を間違えたらどうしよう」
「システムにログインできるか不安」
こうした心理的な壁がハードルになっているケースがほとんどだと思われます。
私たち市民にできること
デジタル化が進む中で、考えられる対策には、例えば以下のようなものがあります。
① 申請方法の確認
まず、申請したい手続きが「オンラインのみ」なのか、それとも従来の窓口申請も可能なのかを確認しましょう。多くの手続きでは、まだ複数の申請方法が用意されています。
② 専門家への相談
行政書士などの専門家に相談することで、申請方法の選択肢や必要な準備について、具体的なアドバイスを受けられます。
③ 段階的な準備
いきなりオンライン申請に挑戦するのではなく、まず必要な書類を整え、システムの操作方法を確認するなど、段階的に準備を進めることが有効です。
④ サポート体制の活用
多くのオンライン申請システムには、操作方法を説明するヘルプページや問い合わせ窓口が用意されています。これらを積極的に活用しましょう。
当事務所がお手伝いできること
当事務所では、デジタル化による申請手続きの課題をサポートいたします。
具体的には、以下のようなことができます。
オンライン申請システムの操作方法についての相談
必要な準備(マイナンバーカード取得、電子署名など)についてのご説明
申請完了までの一連のサポート
「オンライン申請に対応したいけど、どうしたらいいか分からない」「操作方法に不安がある」というご相談があれば、お気軽にお問い合わせください。
参考資料
デジタル社会の実現に向けた重点計画(令和7年6月13日閣議決定)
日本行政書士会連合会「『行政書士法の一部を改正する法律』の成立について」(令和7年6月6日)
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