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障害福祉の「家事援助」はどこまでできる?―厚労省が示した具体例と令和9年度報酬改定

障害福祉の「家事援助」はどこまでできる?―厚労省が示した具体例と令和9年度報酬改定

公開:2026/9/30 07:09

障害福祉サービスの居宅介護には、調理、洗濯、掃除、生活必需品の買い物などを支援する「家事援助」があります。

では、利用者が外出している間にヘルパーが掃除をすることはできるのでしょうか。

在宅勤務をしている利用者のために家事をする場合は?

本人と一緒にスーパーへ買い物に行くことは、家事援助として算定できるのでしょうか。

2026年9月24日に開催された第63回障害福祉報酬改定検討チームでは、令和9年度障害福祉報酬改定に向けた訪問系サービスの検討の中で、居宅介護(家事援助)の適正な利用が取り上げられました。

資料には、家事援助と「家事代行サービス」との違いについて、具体的なQ&Aが示されています。

この記事では、現在示されている家事援助の取扱いと、令和9年度報酬改定に向けた検討内容を整理します。

そもそも居宅介護の「家事援助」とは

居宅介護は、障害のある方の居宅にヘルパーが訪問し、入浴・排せつ・食事などの介護や、調理・洗濯・掃除などの家事、生活等に関する相談・助言などを行う障害福祉サービスです。

そのうち家事援助は、障害によって本人や同居家族が家事を行うことが困難で、家事援助を行わなければ日常生活を営むことに支障が生じる場合に提供されます。

一般的な家事代行サービスとは、制度の目的が異なります。

今回の厚生労働省資料でも、この違いを踏まえて家事援助の利用を適正化することが論点となっています。

利用者が外出している間に家事援助はできる?

厚生労働省が示した一つ目の事例が、利用者が外出している間の家事援助です。

たとえば利用者が通所先や勤務先などへ出かけている間に、ヘルパーが自宅を訪問して掃除や洗濯を行うケースが考えられます。

今回の資料では、このような利用について、居宅介護では利用者の心身の状況や置かれている環境などを把握し、利用者や家族に適切な相談・助言を行うことが求められていることなどから、利用者が不在の状態で家事援助を提供することは適当ではないとの考え方が示されています。

家事援助は、本人の家事を単純に代行するサービスとして位置づけられているわけではない、ということです。

在宅勤務中なら利用できる?

では、本人が自宅にはいるものの、在宅勤務をしている場合はどうでしょうか。

この点についても、今回の資料に具体的な回答があります。

厚生労働省は、利用者が居宅で在宅勤務をしている間に家事援助を利用するケースについて、居宅介護で求められている利用者への適切な相談や助言などを、在宅勤務中に実施できるとは考え難いとしています。

したがって、

「本人は家にいるのだから家事援助を利用できる」

と単純に考えることはできません。

本人が在宅しているかどうかだけではなく、居宅介護という障害福祉サービスの目的に沿った支援になっているかが問題になります。

「買い物同行」と「買い物代行」は扱いが違う

買い物については、さらに分かりやすい例が示されています。

利用者が日用品を買いに行く際、ヘルパーが一緒に店まで行って買い物を支援する場合です。

厚生労働省は、この「買い物同行」は居宅介護の家事援助ではなく、移動支援に当たるとしています。

一方で、障害によって本人が日用品の買い物を行うことが困難な場合に、ヘルパーが本人に代わって買い物をすることについては、家事援助として差し支えないとしています。

整理すると、次のようになります。

ケース

家事援助としての取扱い

利用者が外出している間に掃除・洗濯などを行う

適当ではない

利用者が在宅勤務中に家事援助を行う

適切な相談・助言等を実施できるとは考え難い

利用者の日用品の買い物にヘルパーが同行する

家事援助ではなく移動支援

障害により本人が買い物困難なためヘルパーが代行する

家事援助として差し支えない

同じ「買い物の支援」であっても、本人と一緒に買い物へ行くのか、本人が行うことが困難なためヘルパーが代行するのかによって、制度上の位置づけが異なります。

なぜ令和9年度報酬改定で家事援助が論点になっているのか

厚生労働省は今回、居宅介護(家事援助)について「家事代行サービス」との誤解が生じている可能性を指摘しています。

家事援助は、単に本人に代わって家事を処理するための制度ではありません。

一方、実際の生活では、掃除、洗濯、調理、買い物などをどこまで本人が行えるのか、どの部分に支援が必要なのかは一人ひとり異なります。

そこで令和9年度報酬改定に向けた検討では、家事援助の趣旨を改めて周知するとともに、相談支援事業所によるモニタリングなどを通じて、家事援助の必要性を適切に確認していく方向が示されています。

ただし、これは2026年9月時点での検討段階の内容です。

令和9年度から具体的にどのような基準や報酬上の取扱いになるかが、この時点ですべて決定しているわけではありません。

今のサービス提供内容を確認してみる

令和9年度報酬改定の内容が確定するまで待たなければ、何も確認できないわけではありません。

今回の資料に掲載された「利用者不在時」「在宅勤務中」「買い物同行」「買い物代行」の取扱いは、令和9年度から新たに始まるルールとして示されたものではなく、現行制度について厚生労働省が示している考え方です。

居宅介護事業所であれば、現在提供している家事援助について、

居宅介護計画では、どのような家事援助を位置づけているか。

実際に提供しているサービスは、その内容と一致しているか。

まずは、この二つを確認することができます。

特に買い物支援のように、同じように見える支援でも制度上の位置づけが異なるものについては、サービス内容と記録を照らし合わせておくとよいでしょう。

令和9年度報酬改定はまだ検討段階です。

しかし、現在の家事援助が何を目的として、どのような内容で提供されべきなのかは、今日確認できます。

参考資料

・厚生労働省「第63回障害福祉報酬改定検討チーム」

・厚生労働省「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」開催一覧

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