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加算を取ったのに返還を求められる…よくある失敗パターンと対策

加算を取ったのに返還を求められる…よくある失敗パターンと対策

公開:2026/3/16 11:03

 加算の取得に向けて要件を確認し、書類を揃え、届出を行う。この一連の作業を経てようやく算定が始まりますが、そこがゴールではありません。加算は「取得すること」よりも「要件を満たし続けること」の方が難しく、取得後に生じたミスが返還請求につながるケースは少なくありません。

 加算の返還が発生する主なパターンと、その対策を整理します。

パターン① 職員異動後の要件確認漏れ

 加算の中には、特定の職種や資格を持つ職員の配置が要件となっているものがあります。福祉専門職員配置等加算(社会福祉士・精神保健福祉士等の配置)や、医療連携体制加算(看護職員の配置または連携)などが代表例です。

 こうした加算を算定している事業所で対象職員が退職・異動した場合、要件を満たさなくなった時点で加算の算定を停止しなければなりません。ところが、人事に関わった担当者と請求担当者の間で情報共有が行われず、退職後も加算の算定が続いてしまうケースがあります。

 この場合、要件を満たさなくなった月まで遡って返還を求められます

パターン② 実績報告の未提出・遅延

 処遇改善加算(福祉・介護職員等処遇改善加算)を算定している事業所は、年度終了後に賃金改善の実績を報告する義務があります。報告書を提出しなかった場合や、期限を大幅に過ぎた場合は、次年度の算定ができなくなる可能性があります。

 「毎年やっているから大丈夫」と思っていても、担当者の交代や繁忙期と重なることで対応が後回しになりがちです。提出期限は指定権者によって異なりますが、年度末から2〜3か月以内に設定されていることが多く、年度初めの届出と並行して対応が必要になります。

パターン③ 賃金改善の実施方法が要件を満たしていない

 処遇改善加算では、受領した加算額を職員の賃金改善に充てることが求められています。具体的には、加算の取得前の賃金水準と比較して、差額分以上を賃金として支給しなければなりません。

 よくあるのが、加算として受領した額を事業所の運転資金に充ててしまうケースです。また、対象となる職員の範囲や支給方法(基本給への上乗せ、手当の新設など)に関して要件の理解が不十分なまま処理してしまうケースもあります。実績報告で賃金改善の実施が確認できなければ、加算の返還を求められます。

パターン④ 変更が生じたときの届出を怠った

 加算の要件を満たさなくなった場合には、変更の届出が必要です。たとえば、一定の割合以上の専門職配置を要件とする加算において、職員構成が変わって割合が下がった場合、または処遇改善加算において対象となる職員の分類が変わった場合などが該当します。

 「届出が必要なのは取得時だけ」という思い込みから、変更の届出を行わずに算定を続けてしまう事業所があります。変更が生じた月から遡って返還が発生する可能性があります。

返還が発生した場合の影響

 返還が求められた場合、過誤申立の手続きにより支払済みの報酬を調整する手続きが必要になります。返還額が大きい場合は、事業所の資金繰りに直接影響しかねません

 また、悪質な不正請求と認定された場合には、返還金額に40%を上乗せした額の徴収(加算金)が課されます(障害者総合支援法第8条)。さらに重大な場合は指定取消処分の対象となり、事業継続が困難になります。

 意図せず生じた算定誤りであっても、運営指導で指摘されてしまうと返還を免れることはできません。「知らなかった」が通用しない領域です。

予防策:事業所でできる管理の仕組み

 返還リスクを下げるために、事業所として取り組めることを整理します。

 算定している加算の一覧と、それぞれの要件・届出期限・実績報告期限を表にまとめ、年間スケジュールとして管理することが基本です。特に処遇改善加算は、年度初めの計画書提出と年度後の実績報告という2段階の対応が毎年必要になります。

 職員の入退職・異動が生じた際には、加算への影響確認を人事手続きの中に組み込むことが有効です。「誰かが確認するだろう」という状態では漏れが生じやすいため、確認担当者を明確にしておくことが重要です。

 また、算定中の加算の要件を定期的に見直すことも必要です。報酬改定のたびに要件が変更される場合があるため、改定の都度、自事業所の算定状況を確認する機会を設けてください。

当事務所にできること

 当事務所では、加算に関する以下のサポートを提供しています。

  • 算定中の各種加算と要件充足状況の確認

  • 変更届・実績報告書の作成支援

  • 職員異動時の各種加算への影響確認

  • 処遇改善加算の計画書・実績報告書の作成代行

 障害福祉サービス事業所での勤務経験と精神保健福祉士としての知見を活かし、書類の作成にとどまらず、実務に即した対応をサポートします。各種加算の管理体制についてご不安な点があれば、お気軽にご相談ください。

参考資料

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