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災害でいつもの支援ができない…障害福祉サービスの「特例措置」とは?

災害でいつもの支援ができない…障害福祉サービスの「特例措置」とは?

公開:2026/8/20 12:08

障害福祉サービス事業所には、人員配置や設備、サービスの提供方法、報酬の算定などについて、さまざまな基準が定められています。

では、大きな災害が起きて、いつものように事業所を運営できなくなった場合はどうなるのでしょうか。

私自身、障害福祉サービス事業所に勤務していた2019年、台風19号による被害を経験しました。厚生労働省や自治体から、被災した事業所や利用者への対応について、通常とは異なる取扱いを認める通知が次々に出てくるのを目にしました。

その後のいわゆるコロナ禍でも、人員配置やサービスの提供方法、報酬算定などについて、多くの臨時的な取扱いが示されました。

こうした非常時には、平時のルールをそのまま適用すると、利用者への支援を継続できなくなる場合があります。そのため、過去の大規模災害では、障害福祉サービスについてさまざまな特例措置が講じられてきました。

今回は、これまでの大規模災害で行われてきた対応をもとに、災害時に障害福祉サービスのルールがどのように扱われるのかを整理します。

受給者証がなくてもサービスを利用できる場合がある

災害が起きれば、受給者証を持たずに避難することもあります。家屋が被災して、受給者証を取り出せなくなることも考えられます。

過去の大規模災害では、このような場合に、受給者証を提示できなくても障害福祉サービスを利用できる取扱いが示されています。

また、被災した方が住所地とは別の市町村へ避難した場合についても、避難先で必要なサービスを利用できるよう、支給決定などについて柔軟な取扱いが行われた例があります。

制度上の手続きを優先して支援が止まってしまっては、災害時に必要な支援を届けることができません。

まず利用者への支援を継続する。そのために、平時の手続きを一時的に柔軟にするという考え方です。

人員配置基準を満たせなくなったら?

災害時には、事業所そのものが被災するだけではありません。

職員自身が被災して出勤できなくなったり、道路や鉄道などの交通網が寸断されたりすることもあります。反対に、被災地域を支援するため、別の地域の事業所から職員を派遣することもあります。

こうした状況で、平時とまったく同じ人員配置を求めることには無理があります。

そのため過去の大規模災害では、被災によって必要な職員を確保できない場合や、被災地へ職員を派遣した場合などについて、人員配置基準を柔軟に取り扱う措置が講じられてきました。

また、被災した利用者を通常の定員を超えて受け入れた結果、人員基準や設備基準を満たせなくなった場合についても、報酬を減額しないなどの対応が行われた例があります。

「基準を満たせないから受け入れられない」とするのではなく、非常時には必要な支援を優先するための措置です。

いつもの場所でサービスを提供できない場合

事業所の建物が被災したり、避難指示が出たりすれば、いつもの場所でサービスを提供できなくなることがあります。

だからといって、利用者への支援そのものが不要になるわけではありません。

過去の災害では、通常どおりのサービス提供が難しい場合に、利用者の居宅や避難先などで安否を確認したり、生活状況を確認したり、相談に応じたりするなど、その時点でできる限りの支援を行うことについて、柔軟な取扱いが示されてきました。

利用者の安否を確認する。必要な支援につなげる。生活上の困りごとについて相談に応じるー通常の支援ができない状況でも、可能な範囲で支援を続けることが重視されています。

報酬や加算も柔軟に取り扱われることがある

人員配置やサービス提供の方法が変われば、障害福祉サービス等報酬の算定にも影響します。

しかし、災害によって一時的に通常の要件を満たせなくなった事業所について、機械的に加算を算定できないとしたり、報酬を減額したりすれば、被災した事業所の運営をさらに難しくしてしまいます。

そのため過去の大規模災害では、被災によって通常の要件を満たすことが難しくなった場合について、報酬や加算を柔軟に取り扱う措置が講じられてきました。

また、通常の方法による国保連への請求が困難になった場合について、概算による請求を認めた例もあります。

利用者についても、被災によって利用者負担を支払うことが困難になった場合に、支払いの猶予や免除などの措置が設けられることがあります。

このように、災害時の特例措置はサービスの提供方法だけではなく、報酬請求や利用者負担まで広い範囲に及ぶことがあります。

「災害だから仕方ない」で判断しない

ただし、過去の災害で特例措置が行われたからといって、次に災害が起きた際に事業所の判断で同じ取扱いができるわけではありません。

大規模災害が発生すると、その規模や被災状況に応じて、厚生労働省や自治体から通知や事務連絡が発出されます。

受給者証、支給決定、人員配置、サービス提供、報酬・加算、請求などについて、それぞれ別の通知が出されることもあります。

したがって、

「前の災害では認められていたから、今回も大丈夫だろう」

と判断するのではなく、

「今回の災害について、どのような特例措置が示されているのか」

を確認する必要があります。

特に報酬や加算については、後になって算定方法が問題にならないよう、判断に迷った場合には指定権者へ確認しておくことが重要です。

非常時だからこそ通知を確認する

障害福祉サービスは、平時には細かな基準によって運営されています。

しかし、非常時まで平時と同じルールをそのまま適用すれば、必要な支援を届けられなくなる場合があります。

これまでの大規模災害では、受給者証や支給決定、人員配置、サービスの提供方法、報酬や加算、国保連への請求、利用者負担など、さまざまな場面で特例措置が講じられてきました。

私が2019年の台風19号を経験した際にも感じたことですが、災害が発生すると、行政から多くの通知が短期間に発出されます。

新型コロナウイルス感染症への対応でも同じような経験をしました。

平時の制度を理解しておくことはもちろん大切です。しかし非常時には、平時の知識だけで判断するのではなく、「今、どのような取扱いが示されているのか」を確認することが重要になります。

災害が発生した際には、利用者への支援を続けるためにも、厚生労働省や指定権者から発出される通知や事務連絡に平時以上に気を配り確認するようにしましょう。

参考資料

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