令和8年度の障害福祉サービス等報酬改定が行われたばかりですが、厚生労働省ではすでに、令和9年度の次期報酬改定に向けた検討が始まっています。
令和8年度の改定は、物価高や人材確保などへの対応を目的とした臨時・応急的なものでした。これに対して令和9年度は、通常の3年ごとのサイクルで行われる本改定です。
2026年4月28日に開催された第55回障害福祉サービス等報酬改定検討チームでは、次期改定に向けた検討の進め方が議題となりました。その後、6月から8月にかけて関係団体へのヒアリングが続けて行われています。
まだ具体的な報酬単価や加算の新設・廃止が決まる段階ではありませんが、これまでの資料から、次の改定で何が論点になりそうなのかを見ていきます。
令和8年度改定と令和9年度改定の違い
障害福祉サービス等報酬は、原則として3年に一度改定されます。前回の本改定は令和6年度でしたので、次回は令和9年度となります。
一方、令和8年度には通常の改定とは別に、臨時・応急的な報酬の見直しが行われました。
処遇改善加算の対象拡大や、生産性向上に取り組む事業所への上乗せ措置などが導入されたほか、就労継続支援B型の基本報酬区分などについても見直しが行われています。
その翌年度に本改定が控えているため、事業所から見れば2年続けて報酬制度が動くことになります。
制度変更への対応だけでも事務負担が生じますので、今後公表される情報については早めに確認しておきたいところです。
すでに関係団体へのヒアリングが始まっている
厚生労働省の障害福祉サービス等報酬改定検討チームでは、6月15日の第56回を皮切りに、関係団体へのヒアリングが行われています。
6月26日、7月3日、7月17日、7月27日と続き、8月3日には第6回目のヒアリングが開催されました。
対象となっている団体も幅広く、就労継続支援A型、自立訓練、就労移行支援、児童発達支援、重症心身障害、精神障害、共同生活援助など、さまざまなサービスや当事者・事業者の立場から意見が出されています。
この段階で提出されているのは、あくまで各団体からの要望です。そのまま次期改定に採用されるわけではありません。
ただ、報酬改定の議論がどこに向かおうとしているのかを見るうえでは参考になります。
「事業所の数」だけではなく「質」も問われる方向へ
ここ数年の障害福祉制度を見ていて気になるのが、事業所の量的な拡大とサービスの質をどう両立させるか、という問題です。
厚生労働省は、就労継続支援事業所について、新規指定や運営状況の把握・指導に関するガイドラインを示しています。共同生活援助についても、運営や支援に関するガイドラインが作成されています。
以前であれば、人員・設備・運営の各基準を満たして指定を受け、その基準を維持しているかという点が事業所運営の中心でした。
もちろん、現在もそれが基本であることに変わりはありません。
ただ、今後は「基準上必要な人数を配置している」「必要な書類を作っている」という形式的な基準だけではなく、実際にどのような支援を行っているのかについても、これまで以上に確認される方向に進む可能性があります。
事業所としては、報酬改定だけを単独で見るのではなく、こうした指定・運営指導の動きも一緒に見ておく必要がありそうです。
人材確保と処遇改善は引き続き大きなテーマ
障害福祉の現場では、人材確保が長年の課題となっています。
令和8年度改定でも処遇改善加算が拡充されましたが、これで問題が解決したわけではありません。
厚生労働省では、令和8年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査も実施しています。次期報酬改定では、こうした調査結果も踏まえて、実際にどの程度賃金改善につながったのか、人材確保にどのような効果があったのかが検討されることになります。
事業所にとって処遇改善加算は、単に「取れる加算」というだけではありません。
賃金体系、キャリアパス、研修、職場環境改善など、日常の労務管理とも深く関係します。改定のたびに届出書だけを変更するのではなく、実際の運用と届出内容が一致しているかを確認しておくことが大切です。
今後の情報に注意
令和9年度改定については、これから検討が本格化します。
関係団体へのヒアリングを経て、各サービスの現状や課題が整理され、具体的な報酬・基準についての議論へと進んでいくことになります。
障害福祉サービスの報酬制度は複雑で、改定内容が公表されてから実際の事業所運営に落とし込むまでには時間がかかります。
当事務所でも、今後の検討状況を確認しながら、事業所運営に影響の大きい変更について随時お知らせしていきます。
参考
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